八月のアークトゥルス。
担任が帰ったあと
腰の曲がった白髪頭の校長先生が
僕に言った。
「世界くん、、良い名前だ」
「母が、つけたんです。」
「いろんな世界で色んな場所で、
沢山の人たちと繋がれますように。って」
「そうか。ステキな名前だ。」
目を閉じて、校長先生は
母の写真に合掌をした。
目を開けて校長先生は母を見つめた。
「名前というものは、その人の人生を大きく握るものらしい。きっとステキな世界くんの名前をつけたお母さんは、優しい人だっただろう。
きっと温かくて
優しい優しい人だっただろう。
写真から伝わってくるよ。」
また目を閉じて
優しい声で僕に言った。
写真立てに入った母の写真は
満面に笑っている。