八月のアークトゥルス。
そしてあっという間に放課後になった。

教科担任は僕のことを気にして授業中
当てたりしなかったし

教科書のほとんどがこの件で
燃えてなくなった。

先生が貸してくれたけどやはり
僕はまともに勉強するつもりがない。

終わりのチャイムがなった瞬間
僕は急ぎ足で足をすすめる。
約束通り、校長先生に会うためだ。



「はぁ、はぁ、、。」


「世界くん、待っていたよ」

校長室に
校長先生は立ったまま僕を待っていた。


「見せたいもの、、ってなんですか。」

僕は
今日は天気良いですねとか風邪には気をつけないとねみたいな挨拶程度の話を飛ばして、聞きたいことだけを、校長先生に言った。



「確か、温子さんといったね。。」




校長先生は後ろに手を組み
僕の方を向いて聞いた。



「はい。下野温子。旧姓はたしか前野だったと思います。」



僕は
母のフルネームを答えた。



「そうかい。やっぱりそうかい。」


「やっぱり?」


椅子に腰をかけ
また、あの時みたいに目を閉じた。

座りなさい、と言われたので
僕は近くのソファに座った。

あり得ないほどフワフワで心地よかった。


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