八月のアークトゥルス。
「なんで。。その子は自殺なんかしたんですか?」

自殺をするのには
必ず何か理由があるはずだ。
僕は母の死と重ねてしまった。


校長先生は
空を眺めた。






「孤独。」




その一言でまた、目を閉じた。



「孤独、、?」





「人間は孤独を感じると、肉体的にも精神的にも心労する。その子が実際どんな辛い思いをしていたのか、当時の僕にも分からない。人の心は読めないからね。ただ、その子はずっと孤独だった。それだけは事実だ。」




「僕がその子の担任だった。何もしてやれなかった教師としての責任がいまでも変わらずのしかかってきてね。」





45年、僕の人生の3倍を教師として生きている校長先生の言葉にはなぜか重みがあった。



「君のお母さんもこの学校出身でね。僕は一度だけ担任をしたことがあったんだ」



「そうなんですか?」

「ああ、25年前、私は君の母さんの担任だったんだ。」


「25年前、、?」


僕は驚いた。

校長先生の言っていることが正しければ
25年前、自殺した生徒の担任は校長先生であり、母の担任だったとすると、
母と自殺した生徒は同じクラスメイト、、。



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