月が欠けて満ちる間に、たった一つの恋をしよう

「こう……」

 輝夜は座った目をしながら、シーツの端をむんずと掴んだ。

「――しますっ!!」

 声と同時に、シーツを力いっぱい引っ張った。

「お? わ、バカ! やめっ……」

 情けない声とともに、矢上はベッドから転がり落ちた。
 どずんという盛大な音とともに

「いってえええー!」

 野太い悲鳴が上がった。

「目が覚めた?」

「――……おかげさんで。ったく乱暴な」

 寝癖でぼさぼさの頭をかきながら、矢上は上半身を起こした。

「乱暴な奥さんは嫌い?」

「バーカ。嫌いなわけねぇだろ」

 二人の薬指にはまった金のリングが、朝陽にキラキラときらめていた。








 ―――― Happily ever after

< 24 / 24 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:9

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop