MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
 俺が凛々子と初めて会ったのは、二年と少し前だ。

「へぇ、あなたなの。たしかにいい男ね。パパがうるさいから結婚してあげるわよ」

 お互いを紹介され、凛々子が放った第一声がそれだった。
 あまりにも上から目線な言葉だったので、今でもはっきりと覚えている。

 いきなり『結婚してあげる』か。
 腹が立ったりはしなかったが、かなりあきれた。だから忘れられない言葉だ。

 そのあとホテルの庭園を散歩がてらふたりきりで歩くと、彼女はさらに自分をさらけ出した。
 いわゆる、素の自分というやつを。

「あなた、私と結婚する気はあるの?」

 なんの飾り気も愛想もない口調で、サラリと俺に問いかける。
 視線も合わせずに、池の鯉を眺めながらだ。

「ええ。ありますよ」

「私に惚れたりしていないのに?」

「……」


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