MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
 こんな展開になるなんて予想だにしなかった。
 見合いのように引き逢わされたとはいえ、普通に条件などなく結婚へ進んでいくのかと思っていたのだ。

「ま、今まで通りお互い好きなように生きましょ。何時に帰ろうが、どこでをしようが自由ってことで。同居はするけど干渉はなしよ? 仮面夫婦なんだから」

「わかりました」

 それならそのほうが楽だな。下手に干渉しあうほうが疲れる。
 自室も寝室も当然のように別々にして、同じ家にいながらも互いの部屋には入らず、関わらないようにすればいい。
 急にルームシェアすることになった、とでも思えばいいのだ。

「私、あなたの女関係も口出ししないから」

 どういう意味だ。浮気公認ってことだろうか。
 自分もほかに恋人がいるのだから、それを棚に上げて俺を非難できないと考えているのかもしれない。

「ただし、周りにバレないようにやって。うっかりパパの耳にでも入ったら、あなた確実に糾弾されるわ」

 外で愛人を作る……そんなつもりはなかったが。
 まさか結婚前からバレないようにやれと言われるとは思わなかった。
 やはりなかなか肝の据わった人だな。お嬢様育ちのくせに。

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