MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
「じゃ、そういうことで。私の条件に納得したなら結婚を進めましょ?」

「はい」

「この先、お互い婚姻関係を結んでることでなにか支障が出たら……そのときは話し合って考えればいいじゃない」

 やはりお嬢様はぬるいな。内心そう思いながらも、俺は首を縦に振った。

 なにか支障が出たら考える?
 それは要するに、離婚をしようということか?

 もしもそんな事態に陥るとするならば……コージとかいう男がミュージシャンとして大成して、俺と別れてそいつと結婚したくなるというパターンしかないじゃないか。
 それはなかなかのミラクルだと思うが。
 世の中なにが起こるかわからない。可能性がゼロとは言えないからな。

「あ、最後にひとつだけ……」

 彼女が重大なことを忘れていたとでも言うように、あわてて声を強めて言う。


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