MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
「なんですか?」

「私がいろいろ条件を出したことも、コージのことも、パパには秘密よ?」

「わかっています」

 言えるか、そんなこと。
 妻になるお嬢様はほかに恋人がいるから、俺とは契約結婚でセックスなしの完璧な仮面夫婦です、だなんて。
 君の父親だけじゃなく、ほかの誰にも言えやしない。トップシークレットだ。

「特にコージのことは、あなたとの結婚を機に別れるって言ってあるんだから」

 そう念押しする彼女に、俺はあきれながらも首を縦に振る。


 俺と凛々子は初対面からそんな感じだった。
 サバサバと腹の中を見せ合うような本音トークをした。

 結婚に関しては、凛々子が希望する条件をのめるのか否か、考えるべきはその一点だった。
 男と女としての愛情なんて、お互いカケラも望んでいない。

 俺も愛のある結婚なんて信じてはいないから、結婚は一生するつもりはなかったのだ。
 だってそうだろう。
 結婚なんて、ただ煩わしいだけだ。一生の足かせだ。

< 116 / 262 >

この作品をシェア

pagetop