MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
 それはすべて家政婦の人がやってくれているのだが、もちろん文句のつけようがないほどの仕事ぶりだ。
 俺にとっては至れり尽くせり。

 逆に凛々子に家事をやらせたらこうはいかないはず。
 あのお嬢様はなにをしでかすかわからないだろう。
 そのほうがよほどストレスになるから、家事はやらないで正解だ。

 凛々子とはただ同居しているだけ。
 対外的には仲の良い夫婦を装うだけ。
 普段は互いになにをしようが自由だ。

 考えてみればこんな気楽な結婚はない。愛のない結婚もなかなかアリだ。
 そんなふうに思いながら、普通とは違う結婚生活も二年が過ぎて今に至る。


「ただの知り合い、って感じには思えなかったけど?」

 まだ梅宮ひなたのことが引っかかるのか。
 どうでもいいだろう。俺に感心などないくせに。


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