MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
「本当にただの知り合いだ」

 互いに干渉はなしだと言ったのは、君のほうだろう。
 俺はなにも約束を破っていないはずだという思いがあるからか、些細なことを干渉されるとイラっとした。
 普通の夫婦はこんなことを毎日繰り返してるのかと思うとゾッとする。

「でも、あの子のこと気に入ってるでしょ? まだ抱いてないとしても」

 あっけらかんとそんなセリフを言う凛々子と、俺は静かに視線を合わせる。
 彼女は彼女で、なにかあって機嫌でも悪いのかと思ったが、どうやらそうでもないようだ。

「なぜそう思う?」

「だってあなた、今日笑ってたから」

 その指摘を受け、思わず訝しげに眉を寄せてしまった。

「笑ってた? 俺が?」

「そう。あの子と喋って笑ってたわ。無意識だった?」

「……」

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