MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
「へぇ、珍しいね」

「柄が“粋”ですよね。骨も二十四本ありますから風の強い日でも大丈夫ですよ?」

「じゃあ、それにするよ」

「ありがとうございます」

 ペコリと頭を下げ、お客様をレジへと誘導する。
 お会計が終わり、すぐに使えるようにして傘を差し出すと、男性は会釈をしながら受け取った。
 そのすべての振る舞いがとてもスマートで、久しぶりに男性をカッコいいと思ってしまった。

「じゃあ、また来週にでも」

「……え?」

「ハンカチ、返しにね」

「あ、あぁ……急ぎませんので、お気遣いなく」

 入り口付近でお見送りのおじぎをすると、男性は軽く手を上げて去って行った。

「ひなたさぁ~ん。めちゃくちゃカッコいい人でしたね!」

「うん、素敵だった」

 ほかにお客さんがいないのをいいことに、萌奈ちゃんが目をキラキラとさせて先ほどの男性を評価し始める。彼女は自称イケメン評論家だ。

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