MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
 リビングの真ん中にとりあえず設置してあるテーブルにあぐらをかいて座り、日下さんは手にしていた袋から冷たいコーヒーをふたつそこに置いた。
 世界的に有名なコーヒーチェーン店のロゴが入ってる。これ、おいしいやつだ。

「キャラメルマキアートがいいです」

 思わず顔が綻んだ。ここのコーヒーを口にするのは久しぶりだ。

「これを飲んで休憩したら、俺も片づけを手伝う」

「え?! い、いいですよ、そんな!」

 驚いて首をブンブンと横に振った。整理しているうちに恥ずかしいものが出てくる可能性がある。
 樹里や萌奈ちゃんにはなにを見られても構わないが、日下さんは別だ。

「その腕の骨折は俺に責任がある」

「いや、そんなことないですよ。それにもう痛くもなんともないですし、もうすぐギブスも取れますから。気にしないでください」

「気にするだろう。君は女の子だから。怪我をするなら俺がすればよかったんだ。俺はずっと……いつ死んでもかまわないと思っていたのに」

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