MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
「俺たちが愛し合ってるときから降ってるよ」

「……そうでしたか」

「あぁ、ひなたは夢中だったから雨に気づかなかったんだな」

 恥ずかしいけれどその通りだった。
 大好きな人に抱かれているよろこびに浸っていて、雨の音はまったく耳に入ってこなかった。
 余裕がないなどと言っていた彼のほうが、雨に気づいているなんて。

「十年前に初めて出会った日も雨だし、俺が傘を買いに行った再会の日も雨だったな。一緒に地中海料理を食べた日もだ。しかも土砂降りだった。そして、初めて結ばれた今日も降ってる。俺たちはこの先もきっと雨ばかりだな」

 私たちの思い出を遡り、思えば雨ばかりだと彼が揶揄する。
 考えてみると本当にそうで、私もつい噴出しそうになった。

「雨男と雨女のカップルですよ? そりゃ降りますよ。でも私、雨は嫌いじゃなくなりました」

「どうして?」

「雨が私たちを引き合わせてくれましたから」

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