MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
「思い立ったんで、今やっちゃいます!」

「十一時になったら店長来るだろ。そのときにやったほうがポイント高いとか考えないんだな。梅宮らしいわ」

「別に店長に評価されたいから窓掃除するわけじゃないですもん」

 私たち社員の勤務形態はシフト制で、早番と遅番に分かれている。
 アルバイトの休みの希望もあるため、店長がうまくシフトを組んでくれていて、今日は社員の私たち三人が早番で店長が遅番だ。

 先ほど窪田さんに伝えた言葉は本心で、誰かに褒められたいとか点数を稼ぎたいとか、そんな理由で外窓の掃除をするわけではない。
 私はこの店で働けさえすればそれでいい。
 店長に気に入られたいなどという願望は皆無なのだ。
 一見そんな捻くれたことを言う窪田さんも、店長に媚びたことなんてないくせに、と心の中でつぶやいておく。

「窪田さん、ひなたさんは自己顕示欲なんてない人なんですから~」

 窪田さんの言葉は萌奈ちゃんの耳にも入ってしまったようだ。
 私の援護射撃をしようと、かわいらしく唇を尖らせて抗議してくれている。

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