MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
「俺のこと、考えてみてくれないかな? 職場の元先輩じゃなくて彼氏として」

「………」

「あ。窪田先輩みたいに、俺の女になれ! って言うのはむずかしいもんだね」

 そう言って棚野さんは最後に力なく笑ってみせた。

 窪田さんと違って温厚な人だから、強引で俺様な言葉は似合わない。
 だけど今は彼らしく、自分の言葉で私に気持ちを伝えてくれた。
 今度は私が返事をする番だけれど……どうしたいのかすぐに答えが出ない。

「ひなたちゃんってさ、もしかして恋愛に興味ない、とか?」

 なにも言えずにうつむいて押し黙っていると、下から覗き込むようにしてそう問われた。
 私は咄嗟にブンブンと首を横に振って否定をする。

「そんなことはないです……」

 私だって恋愛できるものならしたいと前々から思ってる。
 どうせなら皆がうらやむくらいの大恋愛がしたい。

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