MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
「じゃあ、返事はまたでいいから俺とのことを考えてみてよ」

 きっと……私にはわかるような気がしている。
 キラキラとしたオーラで光り輝いているとまでは言わないけれど、大恋愛ができる運命の相手と出会えたら、この人だとわかると思う。

 だけど未だにその相手は見つかっていない
 本当はもう出会っているのに、私が鈍感すぎて気づいていないだけなのかな?
 その相手は、棚野さんだったりするのだろうか。

 気がつけばもうアラサーだ。誕生日がくると私は二十八歳になる。
 若くして結婚した友達の子供は今年六歳になっていて、来年から小学校に上がるらしい。
 そういう話を聞くと、どうしても置いていかれた感じがして焦りが出てくる。

 恋愛も結婚も人それぞれだ。人生設計だって違う。
 どういう人生を歩むか人によって選択が違うことは理解しているものの、結婚や出産どころか、その前提である恋愛すらまともにできない自分が不甲斐なくて嫌になる。

 私はもしかしたら恋愛不適合者なのかもしれない。
 ふつふつとそんなことを考えながら、棚野さんにアパートの前まで送ってもらい、家路についた。

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