MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
◇分岐点のアラサー
***
仕事を終え、傘を差しながら店の隣にある駐車場へと赴くと、そこには一台しか車は停まっていなかった。
私に気づいた日下さんが、運転席のドアを開けてさっと外に出てくる。
「お待たせしてすみません」
「とりあえず乗って」
「はい」
日下さんは雨が降っているのもいとわず、運転席側からくるりと周って助手席のドアを開けてくれた。
そして私がおずおずとその高級車へ身体を滑り込ませたのを見届けたあと、今度は静かにドアを閉めた。
革張りですごく座り心地の良いシートだ。
外国の車ではないと思うけれど、この分野に疎い私は、これがなんという名の車なのかわからない。
だけどとても高そうだということだけはわかる。
冷静に考えたら、高級車に乗っているのもうなずける。日下さんはサンシャインホールディングスの副社長で、お金持ちご子息なのだから。
運転席に戻った彼は静かに車を発進させた。
「あの……どこに向かってるんですか?」
「知人が教えてくれたんだが、わりと洒落たレストランがある。俺はまだ一度しか行ったことはないけど料理の味もうまい。そこにしようかと思ってるんだ」
「そうですか」
仕事を終え、傘を差しながら店の隣にある駐車場へと赴くと、そこには一台しか車は停まっていなかった。
私に気づいた日下さんが、運転席のドアを開けてさっと外に出てくる。
「お待たせしてすみません」
「とりあえず乗って」
「はい」
日下さんは雨が降っているのもいとわず、運転席側からくるりと周って助手席のドアを開けてくれた。
そして私がおずおずとその高級車へ身体を滑り込ませたのを見届けたあと、今度は静かにドアを閉めた。
革張りですごく座り心地の良いシートだ。
外国の車ではないと思うけれど、この分野に疎い私は、これがなんという名の車なのかわからない。
だけどとても高そうだということだけはわかる。
冷静に考えたら、高級車に乗っているのもうなずける。日下さんはサンシャインホールディングスの副社長で、お金持ちご子息なのだから。
運転席に戻った彼は静かに車を発進させた。
「あの……どこに向かってるんですか?」
「知人が教えてくれたんだが、わりと洒落たレストランがある。俺はまだ一度しか行ったことはないけど料理の味もうまい。そこにしようかと思ってるんだ」
「そうですか」