MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
「これでいつでも連絡できるだろ?」

「は、はい。ありがとうございます」

 なぜお礼を言っているのだろう。これではまるで私が登録してほしいと頼んだみたいだ。
 というより、これで私の番号も日下さんに知られてしまった。

「ケーキ、おいしい?」

「はい、とっても!!」

「良かった。また感想を聞くよ。個人的にでも」

 最後のひとことが意味深な気がしたけれど、どういう意味ですか?とは聞き返せない。
 ドキドキと心臓の心拍数だけが必要以上に上がっていく。

 どうしよう。顔が赤くなっていたら、樹里に絶対突っ込まれる。
 私が冷静さを保てさえすれば、日下さんはいつもの無表情だからなにも怪しまれないだろう。

「今日は傘、持って来た?」

「え?」

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