MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
「いや、それはダメですよ。これは受け取れません」
渡された白の封筒を、再び女性スタッフのほうへと差し向ける。
「きっとそう仰るだろうからと副社長が申しておりました。つき返されても絶対に返金するようにと言われておりますので、受け取っていただかないとわたしくがあとで叱責されます」
「そんな……」
「わたくしを助けると思って、今日のところはお受け取りいただけませんでしょうか」
同じ接客業として見習わなければいけないくらいのスマートな応対に、うまいなぁと感心してしまう。
そんなことを言われては、こちらが引くしかない。
穏やかな声のトーンと、緩慢な笑みでの低姿勢な態度……さすがホテル従業員は違う。
ここで押し問答をするのもなんだかみっともないし、私が後日、日下さんにこの封筒を返せばいいか。私の分だけでも。
「それとこれはおふたりに本日のお土産です」
女性スタッフが今度は手持ちの付いた小さめの紙袋を私と樹里にそっと手渡す。
渡された白の封筒を、再び女性スタッフのほうへと差し向ける。
「きっとそう仰るだろうからと副社長が申しておりました。つき返されても絶対に返金するようにと言われておりますので、受け取っていただかないとわたしくがあとで叱責されます」
「そんな……」
「わたくしを助けると思って、今日のところはお受け取りいただけませんでしょうか」
同じ接客業として見習わなければいけないくらいのスマートな応対に、うまいなぁと感心してしまう。
そんなことを言われては、こちらが引くしかない。
穏やかな声のトーンと、緩慢な笑みでの低姿勢な態度……さすがホテル従業員は違う。
ここで押し問答をするのもなんだかみっともないし、私が後日、日下さんにこの封筒を返せばいいか。私の分だけでも。
「それとこれはおふたりに本日のお土産です」
女性スタッフが今度は手持ちの付いた小さめの紙袋を私と樹里にそっと手渡す。