君は僕の光
「蛍…この間はごめんなさい」


蛍はキョトンとして、首を振った。


「ううん、俺も何か無神経なこと言っちゃったのかなって反省してた。俺の方こそごめん」

「…違うの。蛍は何も悪くない」


心臓が早くなる。


打ち明けるのがこんなに怖いなんて。



「蛍、聞いてほしいことがあるの」

「…うん」


蛍は私の顔をじーっと見た。


見えてないはずだけど、確かにじーっと見てる。



「私ね、ここに越してくる前、少しの間だけどモデルをやってたの」

「…そうなんだ」


蛍が頷く。


声が震えてきた。


「だけどね…撮影の時に事故で、機材が顔に当たって傷ができた。それでモデルは続けられなくなったし、友達や彼氏にも裏切られたの」


蛍は何も言わない。


私は蛍の手に手を伸ばした。


そして、私の右頬の傷にそっと触れさせた。



「分かる?ひどい傷でしょ?この傷、もう消えないの」


手まで震えてきた。


大丈夫、落ち着いて…



「私、蛍が思ってるような綺麗な女の子じゃない。可愛くもない。みんなから避けられてるの」


やっぱり涙が滲んできた。


「今まで黙っててごめんなさい。私の傷のこと知ったら蛍もきっと、私のこと避けると思ったから言えなくて…ごめんなさい」



言えた。


本当のこと言えた。



でも…泣くのは我慢できなかった。
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