君は僕の光
蛍は何も言わない。


私の泣き声だけが公園に響く。



本当のことを言えてスッキリした気持ちと、蛍に嫌われるという恐怖。


よく分からない気持ちになった。



「…俺は間違ってないよ」


…え?


顔を上げると、蛍が真剣な顔をこっちを見ている。


「ひかりはやっぱり、綺麗な女の子だよ」



…何言ってるの?


傷のこと知ったでしょ?



「だから…私は傷が…」


言いかけた瞬間、蛍に抱き寄せられる。



え…!?


あまりに急だったから少しパニックになった。



顔がかあーっと熱くなる。


蛍って、やっぱり男の子だ。



身体が私より大きくてしっかりしてて、簡単に包み込まれる。


また鼓動が早くなった。



「ひかりは俺の曲聴いて、いい曲だって言ってくれた。向日葵畑見て、はしゃいでた。だから、心が綺麗な子なんだろうなって思った」


蛍…。



「俺は目が見えないけど、その分普通の人より、人の中身を見る力が強くなったと思う。俺が断言する、ひかりは綺麗で可愛い女の子だよ」



そう言われた瞬間、涙がぶわっと出る。


こんなこと言ってくれる人、今までいなかった。


みんな私の外見しか見てくれなかった。


初めて私の中身を見てくれて、私のことを受け入れてくれた。



何かから解放されたように心が軽くなった。



「蛍……っ」


蛍の腕の中で、私は泣き続けた。


蛍は何も言わず、優しく背中を撫でてくれた。

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