TRUE
たどり着いた道を見たわたしは、思わず息を飲んだ。
そこにあったのは、見渡す限りに咲き乱れる桜と、舞い落ちた桜のじゅうたん。
わたしが生きてきた16年間で見たこともないくらい幻想的な風景だった。

しばらくその光景に見とれていると、少し先にわたしと同じ高校の制服が見えた。
迷子なわたしは、ラッキーだと思いその人に声をかけようと近づいた。

近くまで行ったわたしは、また感動して息を飲んだ。
なんて、桜が似合う人なんだろう。
少し明るめの自然な茶髪。長いまつげ。シュッとした輪郭。大きな瞳。
まるで少女漫画の中から出てきたんじゃないか、と思うくらいの男の子だった。
彼は、3メートルくらいの距離にいるわたしに全く気づかず、長くてしっかりしている指で舞い落ちた桜を持って見とれていた。
< 5 / 7 >

この作品をシェア

pagetop