TRUE
それから彼とはいろいろな話をした。
彼と話している時はとても楽しくて、気がつくと空はオレンジ色に染まっていた。

「家まで送るよ」
立ち上がって伸びをした彼はそう言って、わたしに手を差し出した。

話しながらわたしの家の近くまで来て、彼は驚いた表情をした。
理由を聞いてわたしも驚いた。
なんと、家が隣だったのだ。
わたしの隣の家には70代くらいの老夫婦が住んでいて、昨日なんだか引越しのトラックが来ていて謎に思っていたのだ。
彼によると、おじいちゃんとおばあちゃんだけじゃ、もう危ないからという理由でヒロヤの家族と同居することになったらしい。
家が隣ということに最初は2人とも驚いて固まっていたけど、しばらくするとまた会えるねって、はしゃいでいた。
わたしの家の前につくと、
「じゃあ、また明日。8時にここで待ってる。」
そう言って彼は家に帰っていった。
強引だな、と思ったけど、また明日も会えるのが嬉しかったし、すごく待ち遠しかった。
帰ってすぐ自分の部屋に行ったわたしはカーテンを閉めよう窓に近づいた。
「きゃっ!」
わたしは驚いてひっくり返り、しりもちをついた。
隣の家の窓のカーテンを、ヒロヤが閉めようとしていたのだ。
向こうも驚き、わたしと同じような体勢なっていた。
((そ こ 、 せ い な の へ や ? ))
口パクで言ってきた彼にわたしはコクリと頷いた。
向こうの部屋の様子を見る限り、いまヒロヤがいるのはヒロヤの部屋のようだ。
建てた時の設計ミスで隣の家との距離が妙に近いため、わざと見なくてもよく見えた。
つまり、わたし達の部屋は隣でがんばれば窓から行き来できるくらいの距離なのだ。
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