愛されたい、だけなのに




温かいものが、身体に染み渡る。


「昨日、俺が言ったことを考えていたのか?」

ドキ。

「・・・」

「また一晩中、寝ずにずっと考え込んでたんだろ?」

ドキ。

「・・・」

図星を突かれて、何も言えない。

「お前は何も考えなくていいのに」

・・・え?


思わず、柳先生を見つめてしまった。

「お前は頭で何も考えず、心で動けばいい」



心・・・?



「腹減らないか?飯でも食べに行こう」


そう言うと、手に持っていたコップを柳先生が片付けに行った。


心で動くって、どういう意味?



「立てるか?」

「!」

立ち上がろうとすると、柳先生が手で背中を支えてくれた。


大きくて、温かい手ー・・・


ドクン。

「何食べたい?ちょっと遠くのー・・・」

「私、帰ります」

「は?ちょっ・・・」

やっぱり、柳先生はー・・・

柳先生の横を通りすぎ、保健室から出た。




私は、この人と一緒にいるとー・・・






「待てよ!!」



グイっと腕を後ろに引かれた。




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