愛されたい、だけなのに
「ただいま」
「!」
一緒に暮らし始めて一週間が経った。
柳先生が住んでいるマンションは、2LDK。
リビングは共同で、当たり前だけど寝室は別。
「夕飯作ってくれたのか?悪いな」
「…いえ」
柳先生が帰ってくるのは、いつも7時過ぎ。
台所を好きに使っていいと言われたので、なるべく料理はするようにしている。
一人暮らしをしていたおかげか、料理は少し自信がある。
「櫻井はもう食べたのか?」
「はい」
「そっか。今度は一緒に食べれたらいいな」
そう言いながら、柳先生は食べ始めた。
「…」
ダイニングテーブルから少し離れたソファに座り、柳先生が食べている様子を伺っているとー…
「!」
バッチっと、目が合ってしまった。
慌てて目を逸らす。
気付かれたかな?
「そんな心配しなくても、櫻井の料理は美味しいよ」
「!」
「ごちそう様」
逸らした目を柳先生に向ける時には、もうダイニングテーブルにはいなかった。
「じゃあ、俺まだ仕事残ってるから。風呂入って、早く寝ろよ」
そう言いながら、柳先生は自分の部屋に行ってしまった。