愛されたい、だけなのに
「…い、櫻井」
「ん…」
「こんなとこで寝てたのか?」
「!」
「6月でも風邪ひくときは風邪ひくぞ」
とんとんっと肩を叩かれ、目が覚めた。
あれ…
昨日の夜、あのままソファに座ったまま眠ってしまっていたみたい。
「俺、もう出るから戸締り頼むな」
目の前にいる柳先生は、もうスーツを着ていた。
「あ…」
今ならー…
「柳先生!」
「ん?」
「あの…」
ごめんなさいってー…
「ご…」
言いたいのにー…
「…っ」
言葉が出てない。
「…悪い、俺もう行かないと。話なら帰ってから聞くから」
そう言うと、柳先生は出て行ってしまった。
静まり返ったリビング。
「やっぱり、私ってー…」
最低。