愛されたい、だけなのに
見守ってたって・・・ずっと、榊原と二人でいるのを見てたの?
「!」
柳先生の手が肩に触れ、そっと背後に隠される。
柳先生の背中で、榊原が見えなくなった。
「あんまりしつこいと、モテないぞ」
「あ!?誰のせいで、この学校で彼女ができないわけか教えてやろうか?」
「いや、わかってるからいいよ」
「本当、男子生徒には性格悪いなぁ」
「お前の態度が悪いからだろ?」
「あ!?」
柳先生と榊原の口論が目の前で起こっているが、何だか遠くに聞こえる。
「・・・っ」
大きな背中から伝わって来る、柳先生の優しさ。
そう思うと、心が温かくなる。
「・・・櫻井」
「!」
小さな声で、呼ばれた。
「お前、榊原と飯食べに行きたいか?」
背を向けたまま、柳先生が聞いてきた。
「・・・いえ」
榊原と二人で行きたくないとか、そういうわけじゃない。
今の私の心はー・・・
「そうか、わかった」
柳先生に向いているからだ。