愛されたい、だけなのに
今日は1日中、柳先生の熱愛発覚情報が飛び交っていた。
「…ただいま」
溜め息をつきながら玄関のドアを開け、リビングに向かった。
柳先生はまだ帰っていない様子。
…彼女のところかな?
「って…」
詮索しない、詮索しない。
私は、ただの生徒で、ただの同居人なんだから。
「ただいま」
「!」
玄関が閉まった音と同時に、いつもの声が聞こえた。
「櫻井も、今帰ってきたのか?」
いつもは7時頃に帰ってくる柳先生が、今日は早かった。
「あ…はい」
「夕飯まだ作ってないよな」
「はい」
「悪いけど、俺もう寝るから夕飯いらないから」
「え?」
「もう、限界…眠すぎ」
そう言いながら柳先生は、自分の部屋に行ってしまった。
「…」
あんな朝早くから起きて、帰りも遅いんだもん。
眠くて当たり前だよね。
そこまでして、毎朝彼女に会いたいんだー…
「あ…」
土曜日に、榊原の大会に付いて行くって伝えてない。
2日後だし、明日でもいいか。