愛されたい、だけなのに
どうしよう・・・
あの日以来、あんまり喋ってなかったから緊張するー・・・
「大丈夫か?」
「あ、はい」
「櫻井は、車酔いするタイプだったんだな」
「え・・・あ・・・学校の行事以外で長時間車に乗るのって初めてで・・・旅行も行ったことなかったし・・・」
家族旅行なんか、一度も行ったことがなかった。
周りの子達がうらやましいって思う時期もあったけど、考えるのをやめた。
うちは、うちー・・・そう思い込むようにした。
「!」
「もう少し休んどけ」
グイっと頭を柳先生の肩に寄りかからせられた。
「すいません・・・また迷惑ばっかり」
肩から伝わってくる柳先生の体温に、涙が出そうになる。
「迷惑だなんて思ってないよ。誰だって体調悪くなるときもあるさ」
「…」
「後、旅館まで30分ぐらいあるけど頑張れそうか?」
「…はい」
「よし」
ポンポンっと頭を撫でられた。