愛されたい、だけなのに
「ねぇ、圭吾!夜は皆で飲み会しようね」
「お前、俺が教師だってことわかって言ってんのか?ダメに決まってんだろ!?」
「えー!圭吾の酔っぱらった姿見たかったのに」
道の駅から旅館まで、30分。
今は、助手席に蘭が座っている。
どうしても座りたいと押し切られた。
「なぁ、寝る場所って4人一緒なのか?」
「そんなわけないでしょ!?ちゃんと2部屋、予約したよ!」
「蘭のことだから、圭吾と二人で寝る!って言うかと思った」
「圭吾がいいなら、私はいいよ~」
「嫌だ」
「ひどっ」
「あはは」
車内はさっきよりも、盛り上がっている。
「マナ!さっきから何も喋らないけど、また酔った?」
蘭が振り返って聞いてきた。
「大丈夫だよ。話聞いてるだけで、面白いし」
「気分悪くなったら、すぐに言えよ?」
ミラー越しに柳先生が聞いてきた
「…はい」
ここでは、そういう優しさを見せてくれる。
先生としてー…
「ちょ…圭吾、マナに優しくない!?」
「そうか?てか、お前うるさい。あんまりうるさいと、後部座席に戻すぞ」
「それはイヤ」
家でも優しいけど、なんかやっぱり距離を感じる。
この間、柳先生の部屋に入ってしまったときに怒り口調だったのは、私が勝手に一線を越えたから?