愛されたい、だけなのに












「はぁー!!いい風呂だった!!」

「…」

蘭とのことを考えてたら、温泉なんか楽しめなかった。

「あれ?榊原はまだ?男のくせに長風呂だなぁ」

「そうだね」

「もう、とっくの間に出てるわ」


「「!」」


目の前のソファーにどんっと座っていたのは、榊原だった。


「長風呂は、お前らだろ?」

「え?そう?」

「俺がどれだけ待ってたか、知らないだろ?湯冷めしたら、お前らのせいだからな」

「えー、人のせいにしないでよ。ね、マナ」

「うん…」

「うるせ。早く部屋戻ろうぜ。圭吾が待ってる」

「そうだね!戻ろー」

榊原と蘭が先に歩き出した。


後を追うように、付いて行く。




「…」


前を歩く蘭は、とても楽しそうに柳先生の話をしている。


聞いているだけで、柳先生をどれだけ好きなのか伝わってくる。






…なんだか、心がざわつく。






私は、蘭を裏切ってるー…?



ドクン!!









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