愛されたい、だけなのに



「マナー?」


「!?」

ハッとして前を向くと、蘭と榊原がこちらを振り返っていた。


「大丈夫か?」

「マナ、大丈夫?」

心配そうにこちらを見ている。


ドクン。



「あ…」


ドクン。


「マナ、体調悪いなら早く部屋に戻って…」

蘭が近付いてこようとする。

ドクン。

"もし、先生との同居がバレたらー…"


「あっ…」



"私は、蘭を裏切ってるー…"






「私!!」

「?」

「?」



「お風呂場に忘れ物しちゃった!先に部屋に戻ってて!!」


「え!?マナ!ちょっと!!」


そう言うと、逃げるようにその場から走った。




「はぁ…はぁ…」




蘭の顔を見てられなかったから。








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