愛されたい、だけなのに



「蘭、悪い。今日は一人で帰ってくれ。俺は、櫻井と話があるんだ」


柳先生が蘭に向かってそう言った。

「柳先生!そんなことを言ってる場合じゃないでしょ!?今すぐこの生徒も一緒に校長のとこに行って…」

「校長への報告は、北川先生1人で行ってください。後、本当にいい加減どっか行ってくれませんか?」


「なんですって!?」


柳先生と北川先生が揉めている。

蘭は、唖然と立ち尽くしている。


こんな風にしたのは、私。



「柳先生、あなた本当に懲戒免職ですよ!?」



全部、全部…私が悪い。




「…私が学校辞めます」



私一人の問題が、こんなに大きい問題にしてしまった。



「え?」


私の発言にイチバンに反応したのは柳先生だった。




「…蘭、今まで黙っててごめん」



目の前にいる蘭にそう告げたが、蘭は言わない。

当たり前だ…私は蘭を裏切っていたんだから。


「柳先生も…今まで色々とすいませんでした」

「おい、櫻井…」

「じゃあ、帰ります」


帰る家もないのに。


「おい!!櫻井!!」


行くあてもないのに。




「行くな!櫻井!!」



とりあえず、柳先生の声が聞こえない場所まで行きたい。









< 230 / 397 >

この作品をシェア

pagetop