愛されたい、だけなのに




「櫻井?」


ドキ!


名前を呼ばれ、ゆっくりと顔を上げるとー…


「何してんだよ?こんなとこで」

声を掛けてきたのは、榊原だった。


「てか、櫻井。電話…」

ドキ!


もしかして、柳先生が榊原に電話してー…


前に私がマンションを出た時も、蘭に電話して探してくれた。

榊原もー…


「って!おい!櫻井!?」


そう思うと、雨の中を逃げるように走った。


「どこ行くんだよ!?」

呼び止める榊原の声を無視して。



「はぁ…はぁ…」


もう柳先生のとこには、戻れない。

蘭のいる学校にも、戻れない。


お願いだから、私を見つけないで。







< 235 / 397 >

この作品をシェア

pagetop