愛されたい、だけなのに
「櫻井?」
ドキ!
名前を呼ばれ、ゆっくりと顔を上げるとー…
「何してんだよ?こんなとこで」
声を掛けてきたのは、榊原だった。
「てか、櫻井。電話…」
ドキ!
もしかして、柳先生が榊原に電話してー…
前に私がマンションを出た時も、蘭に電話して探してくれた。
榊原もー…
「って!おい!櫻井!?」
そう思うと、雨の中を逃げるように走った。
「どこ行くんだよ!?」
呼び止める榊原の声を無視して。
「はぁ…はぁ…」
もう柳先生のとこには、戻れない。
蘭のいる学校にも、戻れない。
お願いだから、私を見つけないで。