愛されたい、だけなのに
「ストップ!ストップ!櫻井」
背後から腕を引っ張られ、制止させられた。
「はぁ…はぁ…離して」
「何で逃げんだよ?意味わかんないんだけど」
榊原の手を振り払おうとしても、離れない。
「だって、電話…」
柳先生からかかってきて、探しに来たんでしょ?
「そうだよ!何で、電話出ないんだよ!?夜、電話するって言っただろ?」
「…え?」
「部活終わったら、電話するって言っただろ?また付き合い始めたんだから」
「…あ」
「まさか、忘れてたのか?」
そういえばー…
「はぁー…まぁ、そんなことだろうと思ったけどな」
溜め息をつきながら、榊原が言った。
あ…私、またー…
「じゃあさ、付き合おうって俺が言ってOKしたのは覚えてる?」
やってしまった。
榊原の問いに、コクリと頷いた。
「そっか、ならいいよね」
「?」
¨なら、いいよね¨って?
「このままだと風邪引くし、雨宿りしようか」
お互いに身体や洋服は、雨に濡れてびしょびしょ。
今も、雨に打たれている状態。
「服も乾かせて、雨宿りもできるっていったらここでしょ」
そう言い、榊原が指さした方向には…
「…え?」
ラブホテルがあった。