愛されたい、だけなのに




「そうか…それなら、悪かったな」


「!」

少しの間があった後に、柳先生がそう言った。


え?

悪かったな?


「じゃあ、俺は帰るわ。榊原、あと頼む」

え…

え…?



帰るってー…


迎えに来てくれたんじゃなかったの?



「…っ」

って、また私はー…




これでいいんだ。

もう柳先生の元には戻れない。

これ以上迷惑かけるわけにはいけない。

蘭のいる学校にだって、もう戻れない。


榊原にだって迷惑かけて、また傷つけてー…





「…そうだ。櫻井」

「!」

柳先生に名前を呼ばれ、顔を上げた。


榊原の背中越しに、柳先生と目が合った。


「俺、前に言ったよな?心が望むままに生きればいいって、心が感じるままに動けばいいって…今のお前は、そうなのか?」


ドクン!


今の私の心はー…

「…っ」


頭の中で何度も繰り返される、思考。


でもー…
私の存在は、皆に迷惑かける。


「あと、もうひとつ」

「!」


「言っただろ?俺が教師として後悔するときはー…」



ドクン。












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