愛されたい、だけなのに
「柳先生…ごめんなさい」
すがるように、抱きついた腕を強める。
「…櫻井、何で謝る?」
柳先生は背を向けたまま、答える。
「また、迷惑かけて…」
「何で迷惑だと思う?」
柳先生は私の言葉に、問いで返してくる。
「私が…私がいるせいで柳先生が懲戒免職になるかもしれない…」
「それは大丈夫だって言っただろ?」
「…でも…」
「櫻井、俺のことは何も心配しなくていい」
身体に回している手を、ぽんぽんっと優しく柳先生の大きな手が触れられる。
「他に気になってることは?」
他にー…
蘭ー…
「…蘭はあの後…」
"もう友達じゃないんだから"
ドクン!
言葉を続けるのが怖い。
私は蘭を裏切った。