愛されたい、だけなのに




放課後ー…



柳先生が職員室にいないのを見計らって、校長室に来た。


「で、私に聞きたいこととは?」


校長室には、校長先生と私しかいない。


来客用のソファに向かい合って座っている。


「あの…」

いざ聞こうと思うと緊張してしまい、言葉が見つからない。


何て聞いていいかわからず、黙っているとー…



「…柳先生のお姉さんのことですか?」

「!」


え…


校長先生の口から出た言葉に驚いた。


柳先生のお姉さんのことを知ってる…?



「あ…いや、何でもありません。気にしないで。で、櫻井さんの聞きたいことは?」


話題を変えようとする、校長先生。


校長先生は知ってるんだ。


柳先生のお姉さんのこと。


お姉さんが自殺していることもー…?



気になっていたことを聞こうと思っていたのに、今はもう柳先生のお姉さんのことが気になってしょうがない。



「…柳先生には秘密にしてもらえますか?」


聞きたい。


「はい。櫻井さんが望むのなら」


柳先生のお姉さんが何で自殺を選んだのかー…




「…私、柳先生のお姉さんの遺書を読んでしまったんです」



何で、自殺してしまったのかー…



柳先生は、どう思っているのかー…




< 280 / 397 >

この作品をシェア

pagetop