愛されたい、だけなのに
¨柳先生のお姉さんの遺書を読んでしまったんです¨
そう言うと、校長先生は驚いた顔をした。
「…柳先生が櫻井さんに見せたんですか?」
「いえ…偶然見てしまったんです。柳先生には言ってませんけど…」
遺書を見てしまったと柳先生が知ったら、どう思うんだろう?
「そうですか…」
校長先生は小さく溜息をつくと、黙ってしまった。
ドクン。
ドクン。
沈黙に包まれる。
チラッと校長先生を見るが、下を向いたまま黙ってしまっている。
「…」
柳先生に秘密でお姉さんのことを知ろうとするなんて、やっぱー…
「柳先生のお姉さんは、私の教え子だったんですよ」
「!」
ボソッといった校長先生の言葉に驚いた。
「担任ではなく学年主任でしたけど、自殺で亡くなったと聞いた時の記憶は、今でも鮮明に覚えています」
俯きながら喋る校長先生の言葉を、黙って聞く。