愛されたい、だけなのに
新しい生活
「え!?マナ、圭吾の家出たの?」
「うん」
母親の家から登校した初日に、蘭に柳先生の家から出たことを話した。
「え…え…何で…てか、大丈夫なの?お母さんと…」
話を聞いて蘭の方がオロオロしている。
「うん。お母さんのアパートに行った時に顔合わせただけで、顔見てないし」
「え!?それはそれで…」
柳先生の家を出た後、母親のアパートに行くとちょうど玄関で会った。
久しぶりに会ったというのに、¨あぁ、そう¨とだけ言って仕事に行ってしまった。
「マナは…大丈夫なの?そりゃ、お母さんの元に戻れた方がいいけどさ…せっかく一緒に暮らし始めたのに、顔もみないし会話もないなんて…」
「…」
蘭の言う通り、会話もない顔を見ないで本当に親子なのか…と思っていたけど。
「…向こうも仕事で忙しいんだよ」
今は受け入れてもらえて、追い出されないだけマシだと思ってしまっている。
前の私はあの親に、何を期待していたんだろうかー…