愛されたい、だけなのに









「バイト先の店長さんから電話来たんだよ。櫻井が出勤して来ないし、電話も出ないって」


そう言いながら、柳先生はホットミルクをテーブルの上に置いた。


「あ…」


今、リビングのテーブルに向かい合って座っている。

二人で、柳先生の家に帰って来た。


「そうだ…バイト入ってたんだった」


慌ててポケットに入っている携帯を出した。


画面には、店長からの不在着信が何回か入っていた。


「またやっちゃった…」

学費が滞納していることで頭がいっぱいで、バイトのことなど忘れていた。


「前回俺が電話出た時に、何かあった時のために携帯番号教えといたんだよ。で、お母さんと住んでる住所教えてもらって様子見に行ったら、会えた」


柳先生の話を聞きながら、いつの間にー…と感心してしまった。


「ちゃんと店長さんに電話しとけよ?心配してたからさ」

「…はい」



二度目だから今度こそ、怒られるかもー…





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