愛されたい、だけなのに



台所に向かう柳先生の後ろ姿を、目で追う。


何で急にお墓参り?という思いもあったが、今はここに帰って来た安堵感と、本当にこれで良かったのかという思いで複雑になっている。


お姉さんのことも話したが、私は柳先生が教師を辞めてほしくないことも話した。


柳先生に向けていた目線を、飲み干したカップに向ける。


だから本当は、私がここにいてはいけないー…


カップを握る手に力がこもる。



「…櫻井、今日は一緒に寝る?」


「!?」


驚いて顔を上げると、いつの間にか台所から戻ってきていた柳先生。


「なんか、一人にしたくない感じがしたから」

そう言うと、手に持っていた飲み干したカップを手に取り、柳先生は再び台所へと向かった。



一緒にー…寝る?


柳先生とー…?



唐突な発言に驚き、言葉が見つからない。





< 318 / 397 >

この作品をシェア

pagetop