愛されたい、だけなのに
「俺は、櫻井が帰って来てくれて嬉しいと思っている。それは、教師としてじゃなくて一人の人間として」
先生としてじゃなくて…
一人の人間としてー…?
「おやすみ」
ふっと笑うと、柳先生はリビングから出て行った。
「…どういう意味?」
シンっと静まり返ったリビング。
「一人の人間として?」
独り言がよく響く。
「…え?」
柳先生は先生として、私を迎えに来てくれたわけじゃないの?
首を傾げ考えるが、よくわからない。
というか、今日は色々ありすぎて思考が働かない。
「…とりあえず、もう寝よう」
独り言をボソッと言うと、リビングの電気を消し部屋へと向かった。