愛されたい、だけなのに



朝食を食べ終え、キッチンでお皿を洗っている時だった。


玄関の開く音が聞こえた。



柳先生、帰って来た?


「…」

ドキン、ドキン。

お皿を持つ手に力がこもる。


何故か、心臓がドキドキしている。


今まで感じたことがない、自分の中の変化。



「櫻井、ごめん。お待たせ」


リビングのドアが開く音がした。



「…っ」


大きくなる足音で、リビングに柳先生が入って来たのがわかる。


「あれ…櫻井?」



…私、何してんの?




「櫻井?」



柳先生が何度も名前を呼んでいるのにー…



何で、キッチンに座り込んで隠れてるの?




ドキン、ドキン。


まだ収まらないし…




「…具合悪い?」

「!?」


ハッと気付くと、柳先生が同じように座り込み、近距離で顔を覗き込んでいた。






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