愛されたい、だけなのに
柳先生が持ってきてくれた洋服は、全て新品の洋服で袋から開けてないものばかり。
お母さんのところから借りてくるって言ってたよね?
でも、全部新品っぽいし…
もし買って来たとしても、まだ店が開いている時間でもないしー…
そんなことを考えながら、テーブルで朝食を食べている柳先生を見た。
「ん?」
視線に気付いた柳先生が首を傾げている。
「この洋服…」
持ってきてくれた洋服を見せながら言った。
「あぁ。それ、姉ちゃんの洋服なんだ。姉ちゃんがいなくなった後も、母さんが洋服買って来たりした時期があったから」
お姉さんの洋服だったんだ…
じっと、洋服を見つめてしまう。
「…やっぱ嫌か?」
「!」
嫌?
「そりゃ、嫌だよな…姉ちゃん…自さー…」
「嫌じゃないです」
柳先生の言葉を遮るように言った。
「着替えてきます」
"自殺した姉ちゃんの服なんてー…"と、柳先生は言おうとしていたと思う。
言葉を遮切った自分にも驚いたが、柳先生の口からそう言わせたくないと思ったから。