愛されたい、だけなのに
今のは、柳先生の声ではない。
顔を上げなくてもわかる。
ドクン。
ドクン。
私が考えていたことを言ったのは、お母さん。
「…っ」
やっぱりー…
"私の存在は、皆に迷惑をかける"
そう考えるのはやめようと決めたはずなのに、頭を過る。
「…私のせいで圭吾に迷惑をかけてるって思ってる?」
ドクン!
お母さんから発せられる言葉は、私の考えていることを言い当てられる。
その言葉は、胸に突き刺さる。
…あぁ、やっぱり私はー…
「生きていく過程で、周りに迷惑をかけていない人間がどこにいるのよ」
「…」
え?
俯いていた顔を上げると、お母さんの横顔が見えた。
お母さんの視線の先には、お墓。
…ここがー…
「生まれてきたことには意味があるの。存在してちゃいけない人間なんかいない」
お姉さんが眠る、お墓。