愛されたい、だけなのに
墓石の側面には、"一九××年 九月十日 柳 彩菜 "と彫られている。
「…彩菜の時は、手を差し伸べてくれる先生や友達は一人もいなかった。私たちには、イジメられてたなんて言えなくて…一人で抱えて、この道を選んでしまった」
語るように穏やかな声で話す、お母さん。
その視線は、真っ直ぐお墓を見つめたままー…
「迷惑かけてもいいの。誰が何て言おうが、生きてていいの。死んだら、何もしてあげられないから」
お姉さんに向かって喋ってるみたいにー…
「…」
こんなに家族に愛されていたのに、お姉さんはこの道を選んでしまった。
もし…
もし私があの時、お姉さんと同じ道を選んでいたら、私の親はどう思っただろうか?
柳先生や、柳先生のお母さんみたいに、こうやってお墓参りに来るだろうか?
って…
また、考えてもしょうがないことをー…
来るわけがない。
あの親たちにとって私は、邪魔な存在だから。