愛されたい、だけなのに



「…彩菜の時も気付いてあげれば良かったんだけどね。…ダメね、今さら気付いても遅いのに」


再び墓石に向かい合ったお母さんが、ボソッと言った。



その言葉に、柳先生も表情を歪めた。



「…」



柳先生は、お姉さんのことがあったから教師になると決めた。


守れる生徒を守るために。


そんな柳先生と出会わせてくれたのはー…




「…お姉さんがいなかったら、私は今ここにいないと思います」



お姉さんだ。




「…私、お姉さんの気持ちもわかるんです。つい最近まで、私もそっち側の人間だったから」


親に捨てられて、友達にも信じてた先生にも裏切られた。

裏切られるぐらいなら、もう誰も信じなければいいと思って、心に鍵をかけた。



そんな時に出会ったのは、柳先生。


「死にたいって思った時って、誰の言葉も心に届かなくて無になるんです。もうその道しかないって思って、どんどん堕ちて行くんです。そんな時に思うのはー…」


涙も出なくなって、何にも感じなくなった時ー…



「私、一人ぼっちなんだって…」


孤独を感じた。







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