愛されたい、だけなのに


「何で生きてるんだろ?って疑問を思い始めたら、もう死にたいって思いしかなくて…」


誰にも愛されないなら…


愛されても裏切られるぐらいなら、死んだ方がマシだと思っていた。



「そんな時に柳先生は私に、頭で考えずに心で動けって言ったんです」


屋上で私が死のうとしていた時に、柳先生がー…







"死にたいなら、このまま一緒に死のう"


ドクン!



あの時、私はお姉さんのことを知らなかった。


けど今、お姉さんの墓石の前で、その時の柳先生の言った言葉を考えるとー…



「…櫻井」

「!」


黙って聞いていた柳先生が、私の背中を撫でた。


隣にいる柳先生を見上げると、優しい笑顔で"もういいよ"と言っているように思えた。



「…っ」


けど、私は今ここで言わなきゃいけないような気がする。



ドクン、ドクン。



ぎゅっと拳を握り、覚悟を決めた。





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