愛されたい、だけなのに
柳先生とやって来たのは、中庭。
初めて柳先生と会話した場所。
「櫻井が校長室から出て行ったって、校長から連絡あって戻って来たんだ」
歩みを止めた柳先生が、振り返った。
「お母さん、連れて来てくれたんだな。事情を説明するために」
キュンっー
「ありがとう」
「っ…」
優しい、優しい笑顔ー…
私の好きな柳先生の笑顔。
「今回の騒動で、櫻井は学校辞めることにないように校長にもお願いしてあるからー…」
いつもいつも、私のことばかり気にかけてる。
けど、柳先生はー…?
「先生を辞めるって本当ですか?」
そう聞くと、柳先生はふっと笑った。
「あぁ。本当だよ」
どうして、笑っているの?
「…校長先生は1ヶ月前に、柳先生から退職願いを渡されたって言ってました。こうなること、わかってたんですか?」
騒動になる前の退職願い、騒動後に柳先生のお母さん家へ行くことー…
「…」
1ヶ月前から、辞める準備をしていたー…?